はじめに
平成7年12月25日に施行された「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震促進法)」により、今や「耐震補強」は建設工事のキーワードとなっています。旭化成の接着系アンカー「ARケミカルセッター®」は昭和55年の発売以来、耐震補強工事において多くの実績を残し、皆様に信頼と安心を提供しております。
耐震促進法
耐震促進法では、昭和56年以前に建築された、現行の耐震基準を満たさない建築物で、大勢の人が利用する、一定規模以上の建築物を特に「特定建築物」といいます。
そして、この「特定建築物」の所有者には、現在の耐震基準と同等以上の耐震性能を確保するよう、建築物の耐震診断、必要に応じた耐震改修に努めるよう求めています。
「特定建築物」には、階数3階以上かつ延床面積1,000m2以上の学校、体育館、病院、映画館、デパート、ホテルなどが上げられます。
耐震補強工事の種類
建物を補強するためには、例えば壁を新しく増設したり、開口部を小さくしたり、柱に鉄板を巻きつけ強くしたりする方法があります。
下表に鉄筋コンクリート構造物で一般に行われている耐震補強工法を示します。
補強工法 | 耐震補強工法の種類 | |
鉄骨による補強工法 | (1) | 外付けブレース工法 |
(2) | 内付けブレース工法 | |
鉄筋コンクリート壁(RC壁)による補強工法 | (1) | 増設RC壁 |
(2) | 増打RC壁 | |
(3) | RC壁の開口部閉鎖 | |
(4) | 袖壁増設 | |
その他の補強工法 | (1) | 鋼板を用いた補強工法 壁の鋼板補強、梁・柱の鋼板巻き補強、床の鋼板接着補強等。 |
(2) | 炭素繊維を用いた補強工法 梁、柱の炭素繊維巻補強、床・壁炭素繊維貼り補強等 |
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(3) | 基礎の補強 基礎の拡大、杭の補強・増し打ち等 |
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(4) | 免震、制震の活用 | |
(5) | スーパーストラクチャーなどの活用 |
ARケミカルセッターの役割
耐震補強における、あと施工アンカーの役割は、既存鉄筋コンクリート骨組と鉄骨補強材や鉄筋補強壁を緊結させることです。
では、鉄骨ブレース工法を例にとって、あと施工アンカーがどのようなどのように働いているかを説明します。下図は鉄骨ブレースで補強された建物の例です。
地震の発生によって既存コンクリート構造物梁に作用した地震力(1)は、梁に打ち込まれたあと施工アンカーに伝わり(2)、その力がコンクリートを伝わって(3)、鉄骨ブレースに溶接されているスタッドボルトへと伝達され(4)、スタッドボルトから鉄骨ブレースへと伝達されます(5)。
ここにおいて、『ARケミカルセッター®』は、高い固着性能と、優れた耐振動性、耐食性であと施工アンカーを既存コンクリート構造物梁に強固に固着するもので、耐震補強工事において重要な役割を果たしています。


