接着系あと施工アンカー ARケミカルセッター®について、雨天時の施工は可能ですが、次の注意事項を守って下さい。
HP、APは、水が溜まった状態でも施工可能ですが、この場合強度が8割程度に低下しますので、設計者と協議するか、ブロアー等で溜まった水を取除いて施工して下さい。 (湿孔では乾孔と同程度の強度を発揮します。) 孔壁に泥が付着していると著しく強度低下しますので、十分な水量で泥を洗い出して下さい。
MUアンカー、EAシリーズ、EXシリーズは、孔内に水が溜まっていると強度低下のおそれがありますのでブロアー等で溜まった水を取り除き、ウェスなどでふき取って湿孔の状態にして施工してください。 また、孔壁に泥が付着していると強度は著しく低下しますので、十分な水量で泥を洗い出した上で孔内の水分を取除いてから施工して下さい。
ブロアー等で水を排出して、ウェスなどで軽くふき取った状態です。(いわゆる孔内に水が溜まっていない状態です)
孔底に水が溜まっていると強度低下しますので、溜まっている水は完全に取除いて下さい。
接着系あと施工アンカー ARケミカルセッター®の施工可能温度環境について、
埋込み(穿孔)条件で異なりますが、標準施工条件(カートリッジタイプは埋込み長10d程度)で、カプセルタイプ、カートリッジタイプともに40℃です。
硬化時間にご注意ください。(d=ボルト径)
※カートリッジタイプの場合は長孔・太物となると、ボルト挿入前に樹脂が硬化するおそれがありますので、可使時間にご注意ください。
接着系あと施工アンカー ARケミカルセッター®の施工温度環境について、
エポキシアクリレート樹脂を主剤とするHPアンカーは-5℃、APは-20℃、MUアンカーは-5℃、EA-500、EA-500Sは-5℃、EA-500Wは-15℃までです。
エポキシ樹脂を主剤とするEX-350、EX-400Lは5℃までです。
それ以下の温度で施工される際は当社までお問合せください。
樹脂硬化後であれば-25℃になっても問題はありません。
接着系あと施工アンカー ARケミカルセッター®の施工環境温度について、
-25℃では樹脂と硬化剤の混合が不十分になったり、反応しにくなり固着強度が低下する恐れがあります。
次の製品は施工時に工夫することで施工可能です。 <カプセルタイプ(AP、HP)> カプセル及びボルトを予めぬるま湯などで30℃程度に加温し、カプセルが冷える前に施工して下さい。(加温したカプセルが冷えないように1本ずつ施工して下さい。) <EA-500W> 予めカートリッジ及びボルトをぬるま湯などで加温し、カートリッジが冷えないように作業を手際よく施工したり、カートリッジの保温する等の工夫を行なう。 孔内清掃はワイヤーブラシを使用し、孔壁の目荒らしを行なってください。(孔壁に漂着した霜、氷を除去することが目的です。)
※可能であれば、埋込前に孔内を暖めてください。強度UP、バラツキの低減になります。 ※穿孔時にコンクリート中の水分が凍結し、穿孔壁面に膜をつくることによる固着強度の低下が考えられます。穿孔後十分にブラシにより清掃し、ブラッシング後は速やかにブロアーをかけて下さい。 ※埋込時の攪拌不良、硬化不良を防ぐため、埋込作業直前までカプセルおよびボルトを加温して使用してください。なお、施工は加温したものが冷えないように1本ずつ埋込を行なって下さい。 ※常温、標準施工より大幅な強度低下が予想されます。予め50%程度の固着強度低下を想定し、設計を行なって下さい。
次の製品は-25℃では施工できません。 MUアンカー:樹脂と硬化剤との混合不良を起こす恐れがある。 EA-350、EA-500、EA-500S:-25℃では硬化反応しない恐れがある。 EX-350、EX-400L:主成分がエポキシ樹脂であり、硬化反応しない恐れがある。
エポキシアクリレート樹脂は高強度で耐薬品性に優れており、速硬化性と低温硬化性を特徴とする樹脂です。
アンカー用途としての大きな特長としては、耐アルカリ性に優れ、[JIS K 6919]に基づく耐アルカリ性試験において最高位の耐薬品性にランクされている超耐食性樹脂です。したがって、この樹脂を主剤にしたARケミカルセッター®はコンクリートアルカリに殆ど浸食されることがなく、長期において高強度で安定したアンカー性能が得られます。
接着系あと施工アンカーARケミカルセッター®はエポキシアクリレート樹脂を主剤とした製品とエポキシ樹脂を主剤とした製品のラインナップがございます。
エポキシアクリレート樹脂・エポキシ樹脂どちらも硬化後に安定した物性を持つ樹脂で、強度が高く、耐アルカリ性、耐薬品性に優れています。
エポキシアクリレート樹脂とエポキシ樹脂は分子構造、硬化反応の仕方が異なっているため、特に硬化性に違いがあります。 エポキシアクリレート樹脂は、硬化が早く、低温での硬化性も優れており、一般的なアンカー施工に最適です。 一方、エポキシ樹脂は低温硬化性(5℃以下)は劣りますが、可使時間が長く、太物のアンカー施工や充填施工に適しています。
基準穿孔径の条件下では、HPアンカーのフィルムは小さく破壊され樹脂硬化物中に混合されます。したがって、強度に影響はありません。
ただし、穿孔径が基準より大きい場合や、鉄筋干渉等で穿孔径が大きくなってしまった場合、フィルムがちぎれずに残る恐れがありますので注意が必要です。HPアンカー施工要領書をご確認の上、施工を行ってください。
接着系アンカーは金属拡張アンカーと異なり、全面接着するので強度(特に剛性)が高く、耐振動性に優れています。また、母材へのストレスも少なく、経年変化はほとんどありません。
強度
耐振動性
施工簡便性
強度発現時間
母材ストレス
耐熱耐火性
接着系アンカー
○
○
○
養生が必要
○
△
金属拡張アンカー
△
×
○
施工後すぐ
×
○
上記表は一般的な比較であり、品種によっては異なるものもあります。
接着系あと施工アンカー ARケミカルセッター®の耐熱温度について、 HP・AP・MU・EAシリーズの場合 硬化後のエポキシアクリレート樹脂は熱硬化性樹脂であるため、熱変形温度(ASTM)は100℃以上ですが、常時熱を受ける部位では80℃までを目安としてください。
EXシリーズの場合 硬化後のエポキシ樹脂の耐熱温度は40℃までを目安としてください。